Commentary
文化コンテンツが中国で直面する困難:中国文化産業のレッドライン
「00后」のネットスラングで知る現代中国③
青春ドラマの恋愛物語なのに、絶対に幸せな結末にならない。ホラーやファンタジーなのに、最後は「科学的」な解釈をしなければならない。さらに、犯罪題材なら必ず犯罪者は法の裁きを受け、家族はどんなに喧嘩しても必ず最後にハッピーエンドになるなど、「過審」の圧力はそれほどまでに大きいと言える。このような強引なエンデイングに対しては、視聴者から厳しい批判を受けつつも、「審査のためだから仕方ない」という理解の声もよくコメントの中で見られる。なぜなら、審査に通らない作品は審査意見によって内容に変更を加えなければならず、このような変更は物語の結末部分でより多いからである。中国の映画やドラマでは、俳優の口の動きと台詞が一致しない場面がしばしば見受けられることがあるが、基本的に審査部門からの指示に基づいて急遽修正された結果である。
他方、中国には文化作品の年齢制限制度がないため、大人向けの作品であっても、子供が目にする可能性を考慮しなければならない。ゆえに、青少年に悪影響を与える可能性がある表現を文化作品から極力排除する必要がある。このような修正は「和諧」(調和)と呼ばれ、さらにネットで「河蟹」(中国語では和諧と同じ発音で、本来の意味は川のカニだが、横に歩く=横行するので理不尽で横暴なイメージになる)。これは「社会主義和諧社会」(社会主義の調和した社会)という中国政府のスローガンから取られた言葉で、映像作品から不適切な内容を削除することを意味している。これは主に暴力、犯罪、エロチシズムなどの内容を指している。さらに、前述の「青春ドラマの恋愛が良い結末を迎えてはならない」という規制のように、青少年が恋愛(つまり「早恋」)することも不適切な要素として見られており、これと同様のさらに広範な内容が含まれている。
「227事件」
広電総局からの審査というプレッシャーに加えて、中国の文化作品は、視聴者からの「挙報」(告発)という、さらに厳しいプレッシャーに直面している。これは、視聴者が作品の特定の内容に不満を抱き、政府の関連部門(通常は広電総局)に通報することで、その作品が「下架」(公開中止)や「整改」(改正)され、さらには「封殺」(削除・禁止)されることを指す。中国には年齢制限制度がないため、これらの告発の多くは青少年の親からのものである。親からの告発によって既に発売された作品が禁止されるようになったケースは珍しくない。
そこでは、特にゲーム業界に対する影響が大きい。ゲームに夢中になる子供たちに関して、親たちからの告発や通報が相次いだ結果、政府は未成年者のオンラインゲーム依存を抑制するために厳格な管理体制を構築してきた。2021年に、中国はすべてのオンラインゲームでの実名登録を義務化し、未成年者が使用するアカウントは、金曜、土曜、日曜および祝日の午後8時から9時の間にしかプレイできないという規制を導入した。2022年以降、この規制は顔認証などの本人確認の強化を進め、さらにゲームのみならず他のサイトやアプリにも拡大している。