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Commentary

習近平及びその時代をどう理解するか
2025年以降の政治的「地殻変動」に備えるために

天児慧
早稲田大学名誉教授、アジア共創塾塾長
政治
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中国の最高指導者であり続けている習近平を理解するには、まず〈習近平個人の政治的ビヘイビア〉を考える必要がある。写真は第19回中国共産党大会開幕式の終わりに、胡錦濤(左)と握手する習近平。右は江沢民。2017年10月18日。(共同通信社)
中国の最高指導者であり続けている習近平を理解するには、まず〈習近平個人の政治的ビヘイビア〉を考える必要がある。写真は第19回中国共産党大会開幕式の終わりに、胡錦濤(左)と握手する習近平。右は江沢民。2017年10月18日。(共同通信社)

日本を待ち受ける政治面の地殻変動

日本に目を転じても、大きな変化がある。明治維新から終戦までが約80年であるが、2025年は戦後80年である。その意味では、様々な戦後体制を見直すタイミングにあるとも言える。注目すべき変化は団塊の世代全員が後期高齢者入りすること、いわゆる2025年問題である。年金・医療・介護のニーズが高まることは避けがたく、社会保障制度改革を断行できるかが今後の日本の経済・社会の帰趨(きすう)を決めると言っても過言ではないだろう。さらに、団塊の世代が75歳を超えることは、政治にも影響を及ぼす。衆議院選挙の投票率(2021年)を見ると、70~74歳が一番高いが、75歳を超えると低下していく。昨年の総選挙では現役世代の声に耳を傾けた政党が躍進したが、今後はその傾向が強まる可能性がある。2025年以降の政治面の地殻変動に留意すべきである。

このように不安定化する国際情勢から見ても、中国がもし台湾に対して大胆な政策・行動を取るならば、国際社会において大きな不安定材料となることは疑いない。これからの中国は、鈴木隆によれば、米国に対する国力の相対的低下に伴い、既存の国際秩序に穏健かつ漸進的に適応していくとの意見と、一種の焦りの心情にとらわれて現状変更の動きを加速させるという、異なった2つの見方がある。私は、習近平本人については「穏健適応」よりも「焦慮加速」と見ておく方が無難であろう、と見通している。しかしどのような主観的、客観的な事情があろうとも、中台の「国益」から見ても、国際社会の「安定」から考えても、中国には穏健で漸進的なアプローチを維持し続けることが求められているのである。

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