Commentary
清華大学と中国経済に関する討論会を開催
五つのセッションで活発な議論を展開
第5セッション――人工知能
第5セッションは人工知能(AI)をテーマとした。華金玲氏(慶応義塾大学総合政策学部訪問講師)からは「中国のイノベーションと超スマート社会:5G、AI、ヒューマノイド産業の発展」と題する報告がなされた。中国の5Gネットワークは2019年末に50都市でスタートし、2025年11月には全国に483万基の基地局を敷設するに至った。2030年には6Gの商用化が始まる。AIに関しては2017年に新世代AI発展計画が打ち出され、その後2023年までの間に地方政府が823の政策文書を出すなど地方主導による積極的展開が行われている。ロボットに関しては、中国にはヒト型ロボットを開発する企業がすでに150社以上ある。UBTechのロボットはフォックスコンやBYD(比亜迪)の生産ラインで働き始め、美的の生産ラインには腕が6本ある「美羅U」ロボットが投入されている。ヒト型ロボット開発には国家発展改革委員会も政府予算から50億元の投入をする。2025年には北京で世界ロボット大会が開催され、技術開発を刺激した。
魯鈺鋒氏(LogosData CEO)からは「次世代のエージェントを定義する:『人工知能+』の革新的応用実践」と題する報告が行われた。清華大学で経済学を専攻した卒業生である魯氏は、LogosDataを創業してAIを使って会社の法務、税務、財務に役立つシステムを開発している。中国はAI用ICではアメリカのNVIDIA(エヌビディア)に匹敵するメーカーはないが、システム設計の工夫により、DeepSeekのような成果を生んだ。中国の優位性は国内の社会経済の規模が大きく、そこで集めたデータをAIの訓練に使えることである。AIエージェントとは、人間が訓練させる伝統的AIと違って、目標を与えれば自分で自分を訓練するAIだ。AI税理士やAI弁護士が自ら判例を学んでいくようになるだろう。しかし、AIに人間に代わって意思決定をさせることはできない。
総合討論――活発かつ和気あいあいと
その後の討論では、中国の国有企業は2001年の時点では輸出の半分を占めていたが2024年には8%に落ちたこと、不動産投機には参入していないが、一帯一路に関わる海外でのインフラ建設では主力の位置を占めていること、2025年に1兆ドルもの貿易黒字になった理由として規模の経済や学習効果、産業集積の効果があるが、同時に内需不足と過剰生産の裏返しでもあること、中国国内のデフレ問題、などについて活発かつ和気あいあいとした議論が行われた。