Commentary
スタバを迎え撃つ中華系カフェチェーンの挑戦
コーヒー文化が中国に根づき、上海は店舗数急増
2022年秋には債務の整理や株主との和解もおおむねカタがつき、ラッキンは新たな経営陣のもとで再び店舗数の拡大に乗り出した。2023年1月から9月の9カ月間で5000店舗以上も増やす猛烈な拡大ぶりである(図2)。
売上額でも2023年第2四半期に8億5520万ドルを記録し、初めてスターバックスの中国での売上額(同期に8億2190万ドル)を上回った。もっとも、ラッキンの売上額粉飾の前科を考えると、このデータをはたして額面どおり受け取っていいのか迷うところであるが。
コーヒーの値段は「スタバ>ラッキン」
ラッキンの店舗の立地や商品の価格帯をみると、スターバックスと対抗するよりもむしろすみ分けを目指しているように思われる。
両者の間ではまず商品の価格帯が大きく異なる。中国のスターバックスでは、一番安いアメリカーノのレギュラーサイズが27元(1元=20円で換算すると540円)と、日本よりも高い価格設定になっている。最近売り出し中のフラットホワイトは「馥丙白」となかなか優雅な中国名がつけられているが、お値段もレギュラーサイズで35元(700円)と優雅である。
一方、ラッキンではラテが15元(300円)とだいぶ安いうえに期間限定のキャンペーンがあったりもする。客単価でいうとスターバックスが38.57元であるのに対してラッキンは17.6元、後述するコッティコーヒーは11.45元と、大きく異なる(『21世紀経済報道』2023年9月25日)。スターバックスのお客さんは店内で優雅に過ごすことを目的に来るのに対して、ラッキンは店内で飲む人とテイクアウトする客が半々ぐらいのようである。上の図2にみるようにラッキンの場合には「パートナーシップ店」が多いが、この中には例えばコンビニの店舗の一角にラッキンのコーナーを設けて、もっぱらテイクアウト客向けにコーヒーを販売するところも含まれる。